今回は、 Big4監査法人 を 人員数 、 クライアント数 、 売上 、 社風 の切り口で徹底 比較 していきたいと思います。
こんにちは、ゆう(@ProgYuki)です。
本日は、
「USCPAを取得後に監査法人に転職を考えている」
「各監査法人の違いを知って転職の参考にしたい」
という人向けに、Big4監査法人を人員数、クライアント数、売上、社風の切り口で徹底比較したいと思います。
私自身、2018年12月にUSCPAに合格してから、1か月半ほどBig4監査法人への転職活動をしていましたので、その中で調べたことや転職エージェントとの面談、各法人との面接の中でわかった違いなどをまとめてお伝えできればと思います。
私の転職活動については、以前の記事で詳しく書いてますので、興味のある方は参考にされてみてください↓
【参考】『USCPA取得後のBig4監査法人の転職状況【近況報告】』
また、今回の記事を書くにあたって、外部のサイトをいろいろと参考にさせてもらってますので、出典を下記にご紹介します。
出典:『【最新版】四大監査法人の決算比較!業績(売上・利益)、クライアント数、人員数をランキング!【2018年10月版】|公認会計士ナビ』
出典:『会計士が外資系監査法人に転職するために知っておきたい知識まとめ』
出典:『USCPA(米国公認会計士)の転職で監査法人からの内定後によくある悩みごと』
※コメントより読者様から指摘いただいたことを追記します。
・トーマツは、前期に決算期を変更したため、前期と当期の業績比較は、8カ月と12か月になるようです。
・EY新日本は、当期においてアドバイザリー部門を別会社に移動したようです。
Big4監査法人 を 徹底 比較 – 人員数 ・ クライアント数 ・ 売上 ・ 社風
日本の監査法人 について
まず、大手監査法人と言われるBig4監査法人や準大手の監査法人にはどういったところがあるのかについてお話します。
Big4監査法人は、世界の4大会計事務所、
- アーンスト アンド ヤング(EY)
- デロイト トウシュ トーマツ(Deloitte)
- ケーピーエムジー(KPMG)
- プライスウォーター ハウス クーパース(PwC)
の4つと提携している
- EY新日本有限監査法人(EY)
- 有限責任監査法人トーマツ(Deloitte)
- 有限責任あずさ監査法人(KPMG)
- PwCあらた有限責任監査法人(PwC)
になります。
この4つの監査法人だけで、日本国内の上場企業で被監査会社の約9割の監査をに担っているようです。
ちなみに私が個人的に驚いたことなのですが、
日本の場合、基本的に上場企業などの社会的に大きな影響力のある会社やIPO前の会社、金融機関などに法定監査が義務化されていて、日本にあるすべての会社に監査が義務化されているわけではありません。
そりゃそうですよね。リソース的にすべてを監査するのは不可能です。
ただ、例えばシンガポールでは、すべての会社に監査が義務化されているようです。
小さな国とは言え、驚きですね。
次に参考として準大手監査法人と言われる、5法人をご紹介します。
- 仰星監査法人(NEXIA Internationalと提携)
- PwC京都監査法人(PwCと提携)
- 三優監査法人(BDOインターナショナルと提携)
- 太陽有限責任監査法人(グラントソントン・インターナショナルと提携)
- 東陽監査法人(クロウ・グローバルと提携)
の5法人になります。
PwCは、PwCあらた有限責任監査法人とPwC京都監査法人との間で提携してるんですね。
ちなみにこの記事では、上記であげたBig4監査法人についてのみ深堀していきます。
Big4監査法人 を 人員数 で 比較
まず、2018年10月時点の人員数の比較をしていきます。
Big4監査法人の人員数詳細
人員数ランキング
人員数ランキングでは、前年度との比較も表示しています。
こう見ると、Big4監査法人の中でもPwCあらたは、他の3法人に比べ、約半分くらいの規模となり、かなり差があることがわかりますね。
一方、前年度の比較で見ると、現在最大手に位置づけられているEY新日本は、近年のオリンパスや東芝の不正会計事件がいまだに影響しているのか人員がかなり減少し、規模的には最小のPwCが人員をどんどん増やしているようですね。
人員数で比較すると
- EY新日本は、降下傾向↘
- トーマツは、横ばい→
- あずさは、上昇傾向↗
- PwCあらたは、上昇傾向↗
ということになりますね。
Big4監査法人 を クライアント数 で 比較
次に、2018年10月時点のクライアント数の比較をしていきます。
Big4監査法人のクライアント数詳細
監査証明クライアント数ランキング
非監査証明クライアント数ランキング
クライアント数については、監査証明業務と非監査業務で分けて表示してます。
※非監査業務は、アドバイザリーやコンサルティング業務のことですね。
Big4監査法人のクライアント数で比較すると、監査業務においてはEY新日本とあずさが強く、非監査業務においては、トーマツが強いというのがわかりますね。
また、PwCあらたにおいては、監査業務が弱いこともあり、非監査業務に力を入れているのが伺えますね。非監査業務のクライアント比率も52.65%と高く、監査業務以上に非監査業務が多いということになります。
監査業務クライアント数においては、あずさのみが前年度と比較して上昇しており、その他3法人は減少傾向にあります。
EY新日本は、東芝事件に行政処分もあり、監査クライアントが減少するのは理解できますが、最も監査クライアントが減少しているのが、トーマツというのは意外な結果ですね。
ただ、トーマツは、監査契約の新規締結や更新のポリシーが前期よりも厳しくなり、契約がトーマツ監査法人自身によって打ち切られている可能性が高いようです。
その結果、あずさ監査法人にクライアントが流れているということなのかもしれないですね。
次に非監査業務のクライアント数ランキングについてですが、EY新日本とあずさが大幅に減少していて、一方PwCが上昇しています。
基本的に監査業務をしている企業に対しては、独立性の問題で非監査業務はできないので、PwCは監査クライアントが他の法人に比べて少ないことを逆に利用して、非監査業務をどんどん取ってきているのかもしれないですね。
少なくてもPwCにおいては、他の3法人に比べて、アドバイザリー等の非監査業務の重要性は高いと言えます。
ということで、監査証明クライアント数で比較すると
- EY新日本は、降下傾向↘
- トーマツは、降下傾向 ↘
- あずさは、上昇傾向↗
- PwCあらたは、降下傾向 ↘
ということになり、
非監査証明クライアント数で比較すると
- EY新日本は、降下傾向↘
- トーマツは、横ばい →
- あずさは、降下傾向 ↘
- PwCあらたは、上昇傾向 ↗
ということになりますね。
Big4監査法人 を 売上 で 比較
次に、2018年10月時点の売上高の比較をしていきます。
Big4監査法人の売上高詳細
監査証明売上高ランキング
※トーマツは、前期に決算期を変更したため、前期8カ月と当期12か月で比較
非監査証明売上高ランキング
※トーマツは、前期に決算期を変更したため、前期8カ月と当期12か月で比較
売上高についても、監査証明業務と非監査業務で分けて表示してます。
売上高においても、PwCは他の3法人に比べて、約半分ほどの規模ということがわかります。
また、EY、トーマツ、あずさは、監査業務からの収入が約70%~80%前後と大きな比率を持っているのに対して、PwCは、51.41%と監査業務からの収入割合が低く、非監査業務の割合が他法人に比べ高くなってますね。
監査業務の売上高ランキングを見ると、全ての法人の売上高が前年度に比べて上昇していますね。
一つ気になったのは、監査クライアント数においては一番減少していたトーマツが最も監査業務の売上高を伸ばしている点です。
現時点でこれがなぜなのかは私にはわかりませんが、全体的に監査業務に対する単価が上がっている可能性は高いと思います。
非監査業務の売上高ランキングを見ると、トーマツとPwCのみが上昇していて、EYとあずさは、減少していますね。
PwCは、非監査業務のクライアント数も伸びていたので、非監査業務の売上高も伸びているのは理解できますが、ここでも非監査業務のクライアント数が横ばいだったトーマツが、非監査業務の売上高を大きく伸ばしているのは、ちょっと不思議です。
私は現時点(2019年2月現在)においては、実務経験があるわけではないので、わからない部分も多々ありますが、どのクライアントでどういった業務内容なのかでプロジェクトの単価が大きく変わってくるのかもしれないですね。
もしかしたら、トーマツなどはクライアント数はそこまで伸びていないが、大型のプロジェクトを受注しているためにプロジェクトの単価が高く、売上高が伸びていて、逆にPwCなどはクライアント数は増えているが、一つ一つのプロジェクトは比較的小さく、プロジェクトの単価が低いということなのかもしれません。
※更新:トーマツは、前期に決算期を変更したため、前期8カ月と当期12か月で比較していることから、前期比が大きい数値になっているようです。
ということで、監査証明の売上高で比較すると
- EY新日本は、上昇傾向↗
- トーマツは、上昇傾向↗
- あずさは、上昇傾向↗
- PwCあらたは、上昇傾向↗
ということになり、
非監査証明の売上高で比較すると
- EY新日本は、降下傾向↘
- トーマツは、上昇傾向↗
- あずさは、降下傾向 ↘
- PwCあらたは、上昇傾向 ↗
ということになりますね。
Big4監査法人 を 会社の雰囲気 で 比較
最後にBig4監査法人のそれぞれの会社の雰囲気で比較します。
Big4監査法人は、会社の雰囲気が法人によってまったく違うようですので、自分に合うかどうかを判断する材料としてとても重要だと思います。
これは、主観的なところも多々含むので、あくまで参考程度ということになりますが、まず上記の出典で紹介させていただいた、なおやじさんという方のブログには、下記のようにありました。
・新日本(EY) – 老舗で官僚的。大学で例えると東大。まじめな人が多い正統派集団。
・トーマツ(Deloitte) – 超体育会系。大学で例えると早稲田。ハードワーク大好きのタフな集団。USCPA率は一番少な目。
・あずさ(KPMG) – スマートでおしゃれ。大学で例えると慶応。女子率高しのおしゃれ集団。
・あらた(PwC) – 外資系。大学で例えると海外の大学。海外大好き集団。USCPA率は一番多目。
また、同じく出典で紹介させていただいた、Career Guideさんのサイトには下記のように書いてました。
新日本は、長年TOPを走ってきた監査法人であり、安定志向が強く、社員の年齢層も高い。オリンパスや東芝の事件があり、最近はパッとしていないが、いまだ国内最大手。安定志向で年功序列型が強い職場ですね。これが合う方もいるかもしれません。
トーマツは、企業開拓に熱心に取り組み、長年TOPだった新日本に追いつこうとしています。年功序列のスタイルではなく結果主義が強い。そのためガツガツしている職場で、体育会系のようです。トーマツを転職した後も、出身者は活躍している傾向にあるそうです。成長したい方で、ガツガツ行ける方はいいのではないしょうか。
あずさは女性が多く、人の働き方を重視する職場のようです。働きたい人はガツガツ働き、それなりに成長もできるバランスの良い職場だそうです。
PwCあらたは一番歴史が浅く、グローバルに活躍するフットワークが軽い企業のようです。日本での売上がまだ少ない分、海外の業務が多いようだ。海外勤務もあり、英語も求められるTHE外資系といったものらしいです。英語ができなければマネージャー以上になれないというのは、PwCあらたのことです。英語に自信があり、グローバルに経験を積みたいという方にはおすすめでしょう
ということで、イメージ的には両方とも近いことを言っているのかなと思います。
また、私が面接した感想ですが(あまり細かい情報までは出せませんが、、)、私はEY、トーマツ、PwCの書類選考が通り、3法人と面接をさせていただきました。
EYとPwCは、私的には似たような雰囲気を感じていて、とてもフラットで丁寧で話やすかったです。具体的には言えないのですが、この2法人は外資系ということもあり外国人比率やUSCPA比率が比較的高かったです。
※Big4監査法人はすべて海外のBig4と提携を結んでいますが、転職エージェントにいただいたJDには、EYとPwCのみが外資系という扱いでした。
※もちろん部署によっても変わると思うので、一概には言えないです。
一方、トーマツは少し雰囲気が異なって、やはり体育会系的な印象は感じました。あと、Big4監査法人の中で唯一、トーマツという日本の法人名がグローバルグループの名称に含まれているということもあり、そこにプライドを持っており、肩書にこだわりがある印象を受けました。
ということで、あずさに関してはわからないのですが、私の印象としては
EYとPwCは、フラットでオープン、グローバル案件が多く、USCPAも多く在籍している
トーマツは、体育会系でトーマツというブランドに誇りを持っている
という感じになります。
まとめ
人員数、クライアント数、売上高、会社の雰囲気という切り口で比較してきましたが、全体を総括すると
・EYは、現在は最大手だが、東芝事件以降業績が降下傾向にある印象
・トーマツは、クライアントを厳しく選定しながら、高単価な優良な案件を確実に取っている印象
・あずさは、他法人から多くの監査クライアントが流れてきており、監査が拡大しており、また、最も働き方改革に力をいれている印象
・PwCは、非監査業務に力を入れており、法人の規模的にも売上的にも上昇傾向にある印象
という感じになります。
Big4監査法人のどこに転職すべきか、少しでも参考になっていたら幸いです。
↓USCPAの学習の流れについて別の記事で書いたので、USCPAを取得してBig4に転職を考えている方には参考にされてみてください。
『USCPA 合格 までの 学習ステップ【10ヶ月半で全科目同時合格の 勉強 法】』
本日も最後までお読みいただきありがとうございました!
他にもっと詳しく聞きたいこと、質問などがありましたら、
コメントかツイッターからご質問くださいね。
ゆう
米国公認会計士(USCPA)関連記事まとめページに戻る↓
コメント
前期のトーマツは8ヶ月決算であること、新日本はこの年度にアドバイザリー部隊を別会社へ持って行ったことは無視ですか???
ご指摘ありがとうございます。前期の8カ月との比較だからトーマツだけ業績の前年比が高かったんですね!追記します。
「新日本はこの年度にアドバイザリー部隊を別会社へ」というのは、監査法人の人員や非監査業務のクライアントが大幅に減っていることの理由になりますか?