今回は、 社会人 が理転して東京大学 大学院 の情報系研究科に挑戦した時の話についてシェアしますね。
こんにちは、ゆう(@ProgYuki)です。
Covidが思ったよりも長引いてますが、時間は以前よりはできたし、外にもあまり出れないし、今のうちにガッツリ勉強でもしようと思う方も多いのではないでしょうか。
まだ明確なデータが出てないのでわかりませんが、おそらく社会人の方で仕事は継続しつつ、大学院進学を考える方もこの1年くらいで増えてるんじゃないかと思います。
実際、社会人大学院のような社会人が学びやすいように時間割等が設定されている大学院ではない、普通の大学院であっても授業がOn demandのOnline授業になったりして、社会人が学びやすい環境になってきています。
私も今年(2021年)の4月中旬に日本の大学院に行こうと考え始め、院試対策をして受験しました。
学部時代はオーストラリアの大学で金融学を専攻していたのですが、ビジネス系の勉強は少し飽きてきたので、修士では理転してコンピュータサイエンス・データサイエンス系を学ぼうと思い、東京大学大学院の情報学環・学際情報学府を受験することにしました。
有名な卒業生でいうと、落合陽一さんが学ばれていた研究科ですね。
ただ結果を言うと、そもそも修士からの理転の難易度が高いのに、準備期間も4ヶ月弱ということで、完全に準備不足で一次試験で敗退してしまいました。
今回は不合格になってしまいましたが、この4ヶ月は自分なりにかなりガチで準備をしたので、
- 院試対策の過程で学んだこと
- 社会人が大学院を受験する際に知っておくべきこと
- 理転することの難易度
- 東大大学院の難易度
等、わかったことも多々あるので、今回はここらへんの内容を深掘りしていきたいと思います。
- これから大学院に進学を考えてる社会人
- 修士から情報系に理転しようとしている方
- 東大院の学際情報学府に興味ある方
に参考になれば幸いです。
社会人 が理転して 東大 大学院 の情報系に挑戦してみた
東京大学大学院 について
まず、東京大学大学院についての情報を簡単にシェアしますね。
東大院の修士課程は、15の研究科があって、その中に複数の専攻やコースがあります。
東大院の研究科一覧
- 人文社会系研究科
・基礎文化研究専攻
・日本文化研究専攻
・アジア文化研究専攻
・欧米系文化研究専攻
・社会文化研究専攻
・文化資源学研究専攻
・韓国朝鮮文化研究専攻 - 教育学研究科
・総合教育科学専攻
・学校教育高度化専攻 - 法学政治学研究科
・総合法政専攻
・法曹養成専攻 - 経済学研究科
・経済専攻
・マネジメント専攻 - 総合文化研究科
・言語情報科学専攻
・超域文化科学専攻
・地域文化研究専攻
・国際社会科学専攻
・広域科学専攻 - 理学系研究科
・物理学専攻
・天文学専攻
・地球惑星科学専攻
・化学専攻
・生物科学専攻 - 工学系研究科
・社会基盤学専攻
・建築学専攻
・都市工学専攻
・機械工学専攻
・精密工学専攻
・航空宇宙工学専攻
・電気系工学専攻
・物理工学専攻
・システム創成学専攻
・マテリアル工学専攻
・応用化学専攻
・化学システム工学専攻
・化学生命工学専攻
・先端学際工学専攻
・原子力国際専攻
・バイオエンジニアリング専攻
・技術経営戦略学専攻
・原子力専攻(専門職大学院) - 農学生命科学研究科
・生産·環境生物学専攻
・応用生命化学専攻
・応用生命工学専攻
・森林科学専攻
・水圏生物科学専攻
・農業·資源経済学専攻
・生物·環境工学専攻
・生物材料科学専攻
・農学国際専攻
・生圏システム学専攻
・応用動物科学専攻
・獣医学専攻 - 医学系研究科
・健康科学・看護学専攻
・国際保健学専攻
・医科学専攻 - 薬学系研究科
・薬科学専攻
・薬学専攻 - 数理科学研究科
・数理科学専攻 - 新領域創成科学研究科
・物質系専攻
・先端エネルギー工学専攻
・複雑理工学専攻
・先端生命科学専攻
・メディカル情報生命専攻
・自然環境学専攻
・海洋技術環境学専攻
・環境システム学専攻
・人間環境学専攻
・社会文化環境学専攻
・国際協力学専攻
・サステイナビリティ学グローバルリーダー養成大学院プログラム - 情報理工学系研究科
・コンピュータ科学専攻
・数理情報学専攻
・システム情報学専攻
・電子情報学専攻
・知能機械情報学専攻
・創造情報学専攻 - 情報学環・学際情報学府
・社会情報学コース
・文化・人間情報学コース
・先端表現情報学コース
・総合分析情報学コース
・アジア情報社会コース
・生物統計情報学コース - 公共政策大学院(公共政策学連携研究部・教育部)
・法政策コース
・公共管理コース
・国際公共政策コース
・経済政策コース
・国際プログラムコース
参考:『東京大学HP – 学部・研究科』
私の場合は、特に「この研究室にいきたい!」とかのこだわりはなかったので、研究科やコース一覧から興味があったり、気になったコースを絞って、そのコースの詳しい情報を集めるところから始めました。
情報系に興味があったので、情報理工学系研究科と情報学環・学際情報学府を詳しく調べていきました。
東京大学のHPから各研究科のHPにリンクが飛んでいるので、気になった研究科のコースを見てみると良いかと思います。
東大院は、社会人のためのコース(夜間コースとか)というのは特にないですが、社会人特別選考を設けているコースは多くあり、また今までは平日の日中に受ける必要があった講義もCovidをきっかけにOn-demandのOnline講義になったりしているので、社会人が受けやすい環境になっているようです。
ちなみに他のコースはわかりませんが、学際情報学府ではCovidが収まった後も対面講義と並行してOnline講義は継続すると説明会で伺ったので、引き続き社会人が講義を受けやすい環境を続くと思います。
大学院受験に必要な科目等は、大学院や各研究科・コースによっても異なりますが、理系であればだいたい
一次試験は、
英語試験のScore(TOEFL iBT or TOEIC or IELTS or 英検*)
筆記試験(数学と専門科目)
研究計画書
*どの資格が利用されるかは大学院やコースによって異なる。
二次試験は、
口述試験
になります。
学部の受験に比べて意外と対策はしやすそうに見えますよね。
私も最初はそう思ったのですが、実際かなりしんどかったです。
まず、特に理転する場合ですが、過去問を見ても数学とかよく分からなすぎるので、大学数学を1から勉強する必要がありました。というか、高校数学もあやしいので、そこからスタートする感じになりますね。*
*今回の受験はCovidの影響で筆記試験はありませんでした。その分研究計画書の重要度がかなり高かったと思います。
また、一次試験は特に研究計画書が重要ですが、私は学部で研究はしていないので、研究計画書は何を書くのかを調べたり、先行研究の論文を読んで今研究がどんな状況なのかを調べるのに膨大な時間がかかりました。
情報系とは別分野の博士号を持っている前職の同期がいたので、彼にレビューをしてもらって、研究計画書の体裁としてはいい感じなところまでは持っていきましたが、研究計画の内容自体はその専門の人が見たらだいぶ幼稚なものだったと思います。
結果は、冒頭でも書いたように一次試験で不合格でした。
実際に挑戦してみて完全に見積もりが甘かったことがわかりましたが、一方で海外の大学院で理転するよりは試験に合格すれば進学できるので理転しやすいことや時間をかけてしっかり対策すれば合格はできそうだということはわかりました。
私はもともと海外の大学院に行くつもりだったので、海外で調べていたのですが、海外大学で大学院から理系に進学する場合は修士課程に入る前に1年〜1年半くらい学部レベルのコースを受講して成績を取る必要があったりするので、費用も時間も結構かかりますね。
その点、日本の大学院であれば試験にさえ合格すれば良いので、時間はかかるかもですが、費用的にはハードルが低いですね。
院試合格に必要だと思ったことについては、「院試対策で学んだことや反省点」の項目でまとめて書きたいと思います。
院試対策のスケジュールと対策
次に大まかな院試対策のスケジュールと私がやったことの流れについてシェアしますね。
これはダメだった例ですが、これから受験する方が同じような失敗をしないためにあえてシェアした上で、どうすべきだったのかを考えてみたいと思います。
4月中旬〜:HPより過去問を入手。英語スコア取得のために勉強始める
大学院受験を4月中旬に考え始めたので、最初は
- どこの大学院に行くのか
- 何を学んだり研究したいのか
- 院試のスケジュール感はどんな感じか
等を調べ始め、大まかな方向性とToDoを決めて、スケジュールを引いて勉強時間と進捗の予実管理表を作成しました。
その後、
- HPから過去問を入手して筆記試験のレベル感を大まかに把握
- 英語Scoreが必要なので少しづつ学習
- 研究とは何か、研究計画書の書き方等について学習
という感じで走り始めました。
4月後半:1回目のOnline説明会に参加。志望教員についてリサーチ
私は、情報学環・学際情報学府の総合分析情報学コースが一番自分に合っていると思ったので、そこに絞って過去問を見始めて、どんな知識がどういうレベルで求められるのかを調べていきました。
基本情報技術者の資格は取っていたので、解答のイメージが湧く問題も多少ありましたが、まず言葉がよくわからないってものがほとんどで、前提知識がだいぶ不足してましたね。
ちなみに情報学環・学際情報学府の受験要項や過去問は、下記のリンクにありますので、興味がある方は確認されてみてください。
参考:『東京大学大学院 情報学環・学際情報学府 – 入試情報』
説明会はZoomを使ってOnlineで行われました。
全体説明会では学際情報学府の概要と各研究室の概要を聞いて、全体説明会の後に別ルームで興味を持った研究室の先生から詳しい研究の事例等を紹介してもらったり、質問したりという感じでした。
研究計画書を書く上で、単に自分がやりたいことを書くだけではダメで、自分が志望する指導教員がどんな研究をどんな方法でしていて、自分がやりたいことがその研究室にどうマッチしていて、どう貢献できるのかを書く必要があるので、指導教員のWebサイトやSNSから現在の研究や活動などの情報を集めていきました。
5月中旬:2回目のOnline説明会に参加。研究室公開
説明会は1回目とほぼ同じ内容。
全体説明会の後は1回目とは別の指導教員の研究室紹介に参加しました。
ちなみにCovidの影響で研究室訪問というものはなくて、Onlineで各研究室の説明を聞く時間があったという感じです。
各研究室の説明は説明会直後の場合もあれば、別の日時の場合もあってバラバラでした。
この頃から少しづつ先行研究の論文を読み始めました。
基本的には、
- Google Scholar
- CiNii
- ACM Digital Library
から論文をキーワードベースで検索して、面白そうでかつ無料でPDFダウンロードできるもの読んだり、指導教員が書いた論文などを読んだりしてました。
分野によっては他にも論文DBが色々とあるようなので調べてみると良いですが、基本的にはGoogle Scholarで検索して、日本語論文を検索したい場合はCiNiiで検索するという感じになると思います。
私はほぼGoogle Scholarを使ってました。
6月中旬:上司に推薦書の依頼
学際情報学府の総合分析情報学コースは推薦書が必須だったので、普段仕事でお世話になっている東大卒のパートナー職階の方にお願いしました。
彼もイギリスの大学院に進学するときに私と同じように上司の方に推薦書を依頼したことがあったようで、快く引き受けてくれました。
推薦書を依頼する時は、できるだけ相手の負担が少なくなるように配慮すると同時に大学院卒の方にお願いすると理解が早いのでスムーズに進むかなと思います。
6月後半:TOEIC受験。研究計画書に本格的に着手
英語Scoreに関しては、受験日までの過去2年以内に受けたTOEFL iBT やTOEIC、IELTSのうち一つのScoreが必要でしたが、私は2年以内に試験を受けていなかったので、受け直す必要がありました。
前もって必要水準のScoreを持っていれば、英語に時間を割く必要がなかったので、ここも時間Lossですね。
ちなみに東大院の入試で必要なScoreは、TOEICで800点くらいだそうです。
英語は、研究計画書や筆記試験に比べて配点は高くないようですが、私は英語くらいでしかその時点で勝てる要素がなかったので、単語の復習と過去問2回分は解いてから試験に臨んで、920点でした。
海外にいた割には高い点数じゃないですが、英語対策に時間をそこまで掛けてられないのでこれで良しとしました。
7月中旬:一次試験申し込み締め切り
7月に入ってからは研究計画書を急ピッチで仕上げていき、博士号持ちの前職同期や推薦書をお願いした上司にレビューをいただきながら完成させて、7月中旬に必要な資料を全て提出しました。
この時は平日でも時間を作って5〜6時間作業していたので、かなり疲れが溜まっていましたね。
8月中旬:一次試験合格発表
一次試験の資料提出から合格発表までは1ヶ月ほど時間があり、7月末までの最初の2週間は口述試験の内容がわからなかったので、
- 筆記試験の範囲の論点の学習
- 研究計画書の深掘り
- 一般的な口述試験の内容を調べて想定問答を考える
等をしてました。
8月初旬に受験票と共に口述試験の内容を確認できたので、そこからの2週間は口述試験の準備をしました。
学際情報学府の総合分析情報学コースの口述試験の内容は、要約すると
- 志望教員の研究テーマのうち一つを選択し、その研究の現状と課題を調査し、
- 将来の課題を解決するための提案をし、
- 自分がどんな貢献ができるのかを説明せよ
というものでした。
いやムズ、、、って感じでした。
思ったよりビジネスっぽい課題なので、ワクワクはするのですが、すでにその研究テーマについて深く理解していて、課題認識もあって、自分が研究したいテーマもある程度明確になってないとちゃんと答えるのは厳しいと思います。
まぁ結局、一次試験で敗退してしまったので、発表する機会はなかったのですが、二次試験に行けても現時点のレベルでは難しかったと思います。
研究計画書について調べていた時は、入学時点では研究者としてのポテンシャルがあるかどうかを見ていて、実際の研究テーマは入学してからも変わるし、研究方法も入ったから勉強できるので、そこまで厳しくないという認識でしたが、
理系だからなのか東大院だからなのかはわかりませんが、かなり実践的なところを理解した上で自分の頭で考えて来てるよね?っていうスタンスで見られている気がします。
8月後半:二次試験、二次試験合格発表
私は受けてませんが、一次試験が合格していたら8月後半に二次試験(口述試験)があり、その1週間後に二次試験の合格発表があるというスケジュール感でした。
このスケジュールで平日がだいたい2〜3時間、休日が5時間くらい、4ヶ月弱で合計283.25時間費やしました。
院試対策で学んだことや反省点
次に実際に院試を経験してみて感じた反省点や学んだことをシェアしたいと思います。
勉強と研究の違いを認識する
学部時代に研究したことのある方からしたら、勉強と研究の違いなんて当たり前のことかもしれませんが、私が当初大学院に行こうと考えた時は単純に
「もっと勉強がしたい!」
というモチベーションで始めました。
社会人で大学院進学を考えている方も私のようにもっと勉強がしたくて大学院進学を考える方が多いのではないかと思います。
海外の大学院だとコースワーク中心のお勉強コースと研究コースがそれぞれあったりするのですが、日本の大学院の場合、専門職大学院を除いて基本的に大学院は研究するところであって、お勉強をするところではないようです。
もちろん勉強も必要なのですが、勉強は自分でやれば良くて、何を研究したいのか、なぜ研究したいのかというのが重要でした。
私の理解で勉強と研究の違いを簡単に言葉にすると、
勉強は、すでに人類が知っている知識を自分にインプットする(消費する)活動
研究は、まだ人類が知らない知識を紡ぎ出す(生産する)活動
という感じです。
最初は勉強目的で大学院進学を考えましたが、研究という活動もロマンチックで素敵だなと思ったので、一旦最後まで院試を走りきることにしました。
ただ、もともと研究したいテーマがあったわけではないので、研究計画書を書く上でかなり苦戦しましたし、書いた研究テーマも本当に自分が研究したいテーマというよりは、自分のこれまでの経験と志望担当教員の研究テーマが重なるような学際的なテーマでした。
具体的な研究テーマの記載は避けますが、会計とIoTを組み合わせた学際的なテーマです。
今は試験が終わったので、ゼロベースで改めて自分は本当に研究がしたくて大学院に行きたいのかを考え直しているのですが、まだ明確な答えが出てないです。
特に私の場合、大学院を卒業しても研究者になるわけでもないですし、転職するつもりもないので、知識と経験が得られるの嬉しいですが、学位は必要ないかもしれません。
ということで、社会人で専門職大学院以外の大学院に行く場合は、
- 自分は研究がしたいのか?
- 何を研究したいのか?
- 卒業後にどうしたいのか?
を最初にじっくり考える必要があると思います。
私は、実際に研究計画書を書く段階で、頭を悩ませてじっくり考えたり、博士号持ちの友人にアドバイスをもらったりして、とても学びと経験になったのでそれはそれで良いのですが、もう少しスケジュールに余裕があれば先にやっておくべきことでした。
論文を読むのに抵抗感が少なくなった
今回院試にチャレンジして良かったことの一つですが、論文を簡単に検索できることを知れたのと、論文を読むことに抵抗感が少なくなりました。
冷静に考えてGoogle Scholar等のDBが無料で使えて論文を読めるのはすごいことだと思います。
学術書と違って初心者向けに知識を体系的に説明してくれるわけではないので、ある程度知識がないと理解が難しいですが、
自分が普段仕事で関わっている分野等ある程度知識がある状態で最先端の研究を垣間見ることは有意義だと思います。
情報収集の一つの手段として論文検索は今後も使い続けます。
院試準備に1年は時間をかけた方いい
今回の反省点で一番大きいのが十分な準備時間がなかったという点ですね。
4月中旬時点では、冬季入試か来年の夏季入試にしようかとも思ったのですが、締め切りが短い中で一度がっつりチャレンジした方がダラけずに学びも多いと思ったので、今回チャレンジしました。
ただ予想通り時間が足りなすぎましたね。
院試に挑戦するなら早めに着手すべきだと思うのが、
- 英語Scoreは早めに取っておく
- 筆記試験の範囲論点は網羅的に勉強しておく
- 研究テーマと関連する先行研究を調べておく
の3つです。
英語Scoreについては、入試申し込み時点から2年以内に取得したTOEFL iBTやTOEICのScoreであれば良いので、早めに取っておいた方が後々研究テーマを考えたり先行研究調査することに集中できるので良いですね。
英語は、TOEICだったら800以上あれば問題ないようなので、そこまで時間をかけて高得点を目指すのではなく、十分な点が取れたら筆記や研究テーマの対策にすぐ移って時間を使った方が良いと思います。
筆記試験については、今回はCovidの影響で開催されてなくて、その代わりに口述試験で筆記試験の範囲の知識についても質問することがありますという感じだったのですが、
特に理転する場合は、早めに筆記試験の対策を始めた方が良いと思いました。
知識が十分にないと先行研究調査のために論文を読む際も十分に理解できなくて、知らない言葉や知識をネットや本で調べまくることになるので、一本読むのにもかなり時間がかかってしまいます。
もちろん、一本全て読む必要はなくてAbstractとかIntroduction、Conclusionらへんから大まかな内容を読み取っていくわけですが、それでも時間がかかりました。
3つ目ですが、研究テーマ決めと先行研究調査をしっかりやることが院試対策では一番重要だと多います。
特に志望する指導教員が決まったら、自分がやりたい研究と指導教員がやっている研究のマッチングを考えることが重要で、ここが合っていないとなかなか合格は難しいと思います。
もちろん、指導教員がやっている研究からしか研究テーマを選べないわけではないですが、私がアドバイスとしてもらったのは、
- 研究対象
- 研究方法
のどちらかは合わせた方がいいとのことでした。
研究は積み重ねなので、すでに行われた研究であっても研究対象もしくは研究方法を変えれば研究になるようですが、そのどちらも指導教員のやっていることと異なると、入学した後に指導が大変そうということで敬遠されることもあるようです。
つまり、研究テーマや研究計画がある程度明確にあって、それが研究室とマッチングしていて、入学後のイメージが湧くような学生の方が取りやすい、ということなので、ここらへんを意識して準備が必要です。
東大院対策で参考にした書籍等
最後に私が東大院の院試対策で利用して勉強になった参考書等をご紹介します。
まず院試対策全般や東大院、研究計画について学ぶのに利用したのが下記書籍です。
- 研究計画書の考え方
- 実録!東大大学院 総集編
- 1,000人以上の“難関“大学院受験に携わる院試のプロが教える 院試勉強法バイブル
- 200人以上の“難関“大学院受験に携わった院試のプロが教える 院試面接バイブル
『研究計画書の考え方』は、研究計画書ではどんな点が見られているのか等のポイントや実際の研究計画書の例とその添削が書いてるので、研究計画書を書く際のイメージが湧きます。
『実録!東大大学院 総集編』は、東大院について実際に大学院に入学した方々へのインタビュー形式で書いていて、東大院での生活だったり、受験対策をどうしたのか等の体験談が読めます。
東大院の院試対策や大学院生活のイメージを持つのに良いですし、モチベも上がると思います。
『院試勉強法バイブル』と『院試面接バイブル』は、大学院院試の勉強や面接対策の全体的な流れを知れます。
受験対策を本格的に始める前にさらっと読んでおくと院試のイメージが湧いて良いと思います。
この2つは、Kindle Unlimitedに入っていると無料で読めるので私も無料で読みましたが、おすすめです。
Kindle Unlimitedの本を1〜2冊読めば元が取れるのでお得ですね。
次に英語対策で使った書籍です。
- TOEFLテスト英単語3800
- 公式TOEIC Listening & Reading問題集(7)
英単語で定番の『TOEFLテスト英単語3800』です。
私はもともと持っていたのでこちらを利用しましたが、TOEICを受ける際もTOEFLの方が単語の難易度も高いので、この一冊で十分対策可能だと思います。
TOEICは、問題自体は時間をかければそこまで難しくないものがほとんどですが、ボリュームが多いので時間内に解ききれないというのが高得点を取る上でのネックになる部分だと思います。
問題の出題形式に慣れるためにも時間配分を練習するためにも過去問対策は必須だと思うので、『公式TOEIC Listening & Reading問題集』はTOEICを受ける前に必須の一冊になります。
現在(2021年8月末時点)は、7が最新版ですが、購入する前に最新版がないかはチェックしてみてください。
そして、理系であれば数学科目は必須だと思うのですが、数学の問題集の中で私が調べた中で一番良いと思ったのが下記の書籍です。
- 演習 大学院入試問題[数学]I
- 演習 大学院入試問題[数学]II
基本的な大学数学の中で一番大事な論点が
線形代数
微分積分学
だと思いますが、これらの論点は含まれています。
大学院試の筆記試験は、過去問は大学HP等から手に入るのですが、解答は基本的に自分で用意するしかないです。
ただ、この書籍は大学院試の過去問をベースに解答を解説しているので、自分の志望する研究科の筆記試験と全く同じ問題でなくても似たような問題は含まれているはずなので、それを参考に学習していけます。
私は時間が足りなかったのと今回は数学の筆記試験がなかったので、今回はあまり手を付けられませんでしたが、良本だと思いました。
最後にコンピュータサイエンス系で参考にした本です。
- コンピュータがネットと出会ったら
- 東大塾 IoT講義
- キタミ式イラストIT塾 基本情報技術者
- 応用情報技術者 合格教本
- コンピュータの構成と設計
『コンピュータがネットと出会ったら』は、東京大学大学院 学際情報学府 総合分析情報学コースの指導教員3名が書いている本で、
IoT、ユビキタスコンピューティング
ネットワーク
ヒューマンインタフェース
等の内容が学べますし、専門用語の説明や参考文献・論文の記載等もあるので、特に学際情報学府に進学を考えている方は必須だと思います。
指導教員の研究内容も知れるので、研究計画書を書く上でも有用でした。
『東大塾 IoT講義』は、IoT関連の内容について東大の各教授陣が書いてたり、講義の内容をまとめていたりするので、特にIoTに関心がある方は読んでおいた方が良いと思います。
『キタミ式イラストIT塾 基本情報技術者』と『応用情報技術者 合格教本』は院試とは直接関係ないのですが、情報系研究科の筆記試験の内容は、IPAの情報技術者試験の範囲と多くの点で共通するので、基本的な知識を学習・復習するのに使ってました。
私はもともと情報技術者試験も以前受けていたので、このテキストを使いましたが他にも選択肢はあると思います。
ただ、情報技術者試験自体もコンピュータやネットワークの仕組みについて知るのに有用なので、今後受ける可能性がある方は持っておいても良いと思います。
ちなみに基本情報技術者試験については、以前合格していて記事にしているので、興味がある方は参考にされてみてください。
『コンピュータの構成と設計』は、情報系ではパタヘネ(パターソンとヘネシーさんが書いた)と呼ばれていて、有名な書籍です。
上下巻2冊あって結構内容も重たいですが、大学院に入ってからどのみち参考にするだろうと思ったので、とりあえず上巻だけ購入しました。
時間の関係もあって全部読み切れてはないのですが、ハードウェアとソフトウェアの両方の視点から書かれているので、コンピュータについて理解がより深まると思います。
私もこれからじっくり読みます。
これ以外にも読んだ本や論文、記事もたくさんあるのですが、理系の情報系大学院に進学したい方向けに特に参考になりそうなものを紹介しました。
ご参考になっていたら幸いです。
まとめ
今回は、東大院に挑戦した時の学びや体験の情報をシェアしましたが、合格するために必要なことは、当たり前ですが十分な準備・対策です。
特に院試は、専門分野の知識と研究者としてのポテンシャルが見られているので、
- 筆記試験の範囲論点は網羅的に勉強しておく
- 研究テーマと関連する先行研究を調べておく
は早い段階からやった方が良いですし、それ以外だと
- 英語Scoreは早めに取っておく
- 指導教員とのマッチングを意識する
が大事だと思います。
これらの対策をすれば合格はできるでしょうし、社会人であれば不合格になってもブランクになることもないので、何度でも挑戦できるのは有利な点だと思います。
私は今回は不合格になってしまいましたが、院試対策の中で学びも多かったです。
実際に経験した上で、自分が本当に研究がしたいのか?学位自体必要なのか?という疑問があるので、今後引き続き大学院に挑戦するかはわかりませんが、それも実際に挑戦してみてより深くわかったことなので、よかったですし、今後この経験が何かに繋がる(Connecting the Dots)ことを期待しています。
IT・ICT分野の興味は尽きないので、引き続き学習していこうと思ってます。
それでは、本日は以上になります。
少しでもご参考になっていれば幸いです・
お読みいただきありがとうございました。
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ゆう